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ファンタスティックヒストリー 超島原幻闘録 ~柳生十兵衛地獄変~ 第3章 ー 25

 「坂は照る照る鈴鹿は曇るあいの土山雨が降る」此処は滋賀県甲賀土山(つちやま)。
 坂下(さかのした)で賊の襲撃を退け、島原を目指す柳生三厳と利厳の2人。
 鈴鹿越えは確かにきついが天気にも恵まれ気持ちが良い。
 早速、田村神社が見えて来る。あの初めて征夷大将軍に任ぜられ、光仁、桓武、平城、嵯峨帝に仕えた坂上田村麻呂が祭られて居る。
 そも「征夷大将軍」なる物は正式役職ではなく、国賊討伐の為の一時的な物で、使い捨て役職だったのである。それでも田村麻呂の平安期は阿弖利為(あてるい)討伐や薬子の変等、数多(あまた)の需要で大納言に迄成って居る。
 あの真言密教の佐伯真魚(さえきのまお)こと弘法大師空海も戦勝祈願をして居る。
 島原迄の安全と天草四郎時貞に勝てる様にお参りをする2人。
 本当に時の運が勝負を決する場合があると坂下の賊に思い知らされた。
 田村麻呂の平安期には既に「鬼」と呼ばれる賊が鈴鹿に棲み着いて居たらしい。
 今回は寄らないが垂水斎王頓宮(たるみずさいおうとんぐう)も甲賀土山に有って(斎王とは天皇即位の度に伊勢参りをする未婚の皇女又は女王を意味し、頓宮は宿泊所、当然日帰りではなく5泊6日程とされ大軍を引き連れるので鈴鹿の賊にも睨みを効かせる意味が有る。実は嵯峨帝の命により田村麻呂に、目障りに成って来た程の規模の鈴鹿の賊が一掃された事が有る。)歴代の皇女の宿泊した場所として知られる。
 更に土山には1634年、つまり島原へ向かう4年前に成るが土山宿本陣が出来、当時の将軍家光上洛の際に利用された。明治3年(1870年)迄使われる。是はたまたまであるが後の明治帝睦人の即位後初の天長節(誕生日)を迎えたのが此処土山ともされ、玉座、手桶が現存する。
 また、かの文豪、森鴎外が宿泊した事も有り、その祖父も此処土山で亡くなって居るとの事。
 そして常明禅寺にはあの奈良東大寺大仏で知られる聖武帝時代の長屋王(大化の改新と壬申の大乱で有名な大海人皇子こと天武帝の子である高市皇子の子)が母親の死を悼んで納めた国宝大般若経も有る。
 聖武帝と言えば滋賀の紫香楽(信楽の事)に遷都を行った帝である。今回は寄らないが此処からそう遠くない所に有る「NHK朝の連続テレビ小説スカーレット」の舞台とも成って居る陶芸の所。
 何と言っても甲賀忍者の里で生き残りをかけて権力者に取り入り天正伊賀の乱の際は織田信長に伊賀への手引きをしたりして織田軍勝利に一役買って居る。その伊賀は三重県北部に有って徳川に取り入って居るが初代服部半蔵保長から。
 その子正成が特に有名であるが家康の所に初めから仕え同い年と云う事である。
 また、鎌倉期の随筆、方丈記や仏教説話集の発心集で有名な京都出身の鴨長明も此処で「あらしふく 雲のはたての ぬきをうすみ むらぎえ渡る 布引の山」(風強く吹く布引山の空に雲の端がほころぶ様にまだらに消え残って居る。)と詠んで居る。
 また此の辺りは水が乏しく旅人の困る事が多かったので三重県伊勢出身の武士身分でありながら「井戸掘り」で、今現在では土山(つちやま)と水口(みなくち)の境辺りに顕彰碑が建つ山口重成と云う男の名が語り継がれる。
 大坂夏の陣で戦功が有り「住山」から「山口」を名乗る様に成る。69歳で死亡。
 水口に到着。そも中村一氏(なかむらかずうじ)の築いた水口岡山城が有って1585年に中村一氏が水口城主に。徳川家康が関東に国替えに成った後、中村一氏は豊臣秀吉から駿河国に赴任させられて居る。
 関ヶ原戦は東軍徳川に属すが合戦前に病死。合戦には弟の一栄、家督を継いだ長男中村一忠が出陣して勝ち組に。しかし、1609年、一忠病死で跡継ぎの居なかった中村家は断絶改易処分に。1595年に長束正家が水口に赴任、関ヶ原は西軍豊臣方で敗れ池田長吉の預かりと成ったが早々に廃城と成ったのが水口岡山城。1634年、将軍家光上洛の際に居館として新たに別の場所に水口城が築かれ、その城下町として栄えた水口。
 大岡寺(だいこうじ)が近くで十一面千手観音像、阿弥陀如来像が有る。
 後の松尾芭蕉も「命二つ 中に活きたる 桜かな」と詠んで居る。
 小堀遠州政一(こぼりえんしゅうまさかず)や徳川家康も利用した大徳寺も有る。
 小堀遠州政一は大名、茶人、建築家、作庭家、書家と言った「文化人」的な男で父親正次が豊臣秀長の家老として仕えて居た。
 豊臣秀長が千利休に師事して居り、正次の子、政一は小姓だったので秀吉への給仕を務め黒田如水孝高、長政父子とも会う。
 関ヶ原は東軍で勝ち組と成り、岡山の備中松山に。古田織部に茶を学んだともされ、当時の有名人に多く知り合いが居る。
 水口と石部の間の近江国滋賀県三雲と云う地区に遣って来た。
 六角承禎義賢(ろっかくしょうていよしかた)の領地だったが居城観音寺城が織田信長に因って落城すると家臣の三雲定持の城、三雲城を頼って逃げて来る。
 少し北側には日野と云う地名が有って蒲生賢秀なる六角の家臣も居た。あの豊臣秀吉に国替えの後、一揆を煽られたと伊達政宗を密告し「花押の真偽」事件に持ち込むが政宗の意見が通ってしまう蒲生氏郷の地元。賢秀の子で茶道の利休七哲の一人であった。
 織田信長に六角が敗れて後、信長の所に徳川家康みたいに人質に取られて居る。
 三雲佐助賢春は猿飛佐助の事で、そんな三雲が地元と云う事である。
 石部(いしべ)に到着。
 良く堅実な人を「石部の金吉(きんきち)」と言ったりするが、此の辺り、金山が有るらしい。
 真明寺だ。後の松尾芭蕉が野ざらし紀行にて「つつじいけて その陰に干鱈 さく女」と詠んで居る。
 俵藤太(藤原秀郷の事)の大百足退治で知られる琵琶湖に近い近江富士こと三上山が見える。
 今回は石部で宿泊。
 宿で「うばがもち」を近江茶と食す。本来、草津発祥だが余りにも美味しいと評判に成り、此方にも店が有って食べられた。
 信長にしてやられたあの六角佐々木承禎義賢からその曽孫を託された乳母「福井との」は郷里草津に潜伏して居たが養育費捻出の為に餅を売ったのが始まりとされる。
 琵琶湖も見える景勝地で此の辺りの名物を2人で語り合いながら堪能。
 次は草津、大津、と来ていよいよ東海道最後の京都三条大橋だ。
 いろいろと見て回りたい所だが我慢して一旦大坂方面に向かい、船で九州を目指す予定。
 遠く迄来たものだ、…っと言うより利厳と会えて「来れたものだ」と言った方が正しい。
 正義の戦いをしに島原へ行くのだ。
 此の旅で多くの事を学べた。
 必ず学びを活かして戦いに勝つんだ、自分の為、そして柳生新陰流の為、そして幕府による治安の為にと決意を新たにする三厳であった。
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ツバサ
(2020/10/28)


ファンタスティックヒストリーも久し振りですね。
前回までは激戦でしたが、
今回は平和な道中ですね~。
さて、無事に目的地までつけるか気になりますが、
また次回ですね(´∀`)

ガオ
(2020/10/28)


ツバサ様、早速ご覧下さり誠に有難う御座います。感謝です。〈(_ _)〉
そ、そうですねー。^^;久しぶりであります。
はいー、平和な道中、個人的にも大変為に成って居ります。
3章が東海道五十三次で4章が京都から大坂、瀬戸内海、九州の道中で最終章が島原決戦の予定です。最後迄書きます!次回もどうか宜しくお願い申し上げます。

ミドリノマッキー
(2020/10/28)


いやあ、ガオさんの博識ぶりはすごいです。
また取材にも苦労されたのではありませんか。
戦いに直接関係なくてもこうした下地が物語を盛り上げますからね。
これkらも各地の時代背景や土地柄などの記述にも期待してますよ。


らす
(2020/10/28)


こんばんは( *ˆ﹀ˆ* )

情報量に圧倒されました(`・д・ノノ゙☆パチパチ
島原が目的地なんですね。
徒歩なので気が遠くなるような旅なんでしょうねえ。
道中何事もなく九州まで行けるのでしょうか•́ω•̀)

ガオ
(2020/10/28)


ミドリノマッキー様、こんばんはー。〈(_ _)〉
博識なんて恐れ多いですー、ご容赦下さいー。何十年も前に買った「完全東海道五十三次ガイド」って本が時空を越えてこう云った形で役立つとは思ってませんでした。
ネットのウィキペディアも絶好調のお役立ちで欠かせない程に!更に地図好きで成美堂(せいびどう)出版の日本地図が手放せない位!(…ですが、2018年版には間違い、落丁箇所も発見!)
「好きこそ物の…」と云う事で楽しんで書いて居りますー。
ご覧下さりお便り迄下さって嬉しく感謝です。宜しくして頂けて信頼を授かる事がどれだけ重要な事か、皆様方あっての自分です。
本当にお世話に成ります。〈(_ _)〉

ガオ
(2020/10/29)


らす様、誠に有難う御座います、感謝です。〈(_ _)〉
圧倒されますかぁ、恐れ多いー、拍手を下さり嬉しいです。
島原、はいー、何せゲーム「サムスピ」の小説ですのでー。
道中何事も…無いと良いですよねー。大阪から九州迄未だ完全に未定状態…。
締切の無い状態が救いですー。
最後迄書きます。自分の弱さへの挑戦です。
ご覧下さりお便り迄、お世話に成ります。
いずれ漫画にも挑戦したく存じます。
有難う御座いました。〈(_ _)〉

東京メトロ03系日比谷線
(2020/10/29)


こんばんは^^
いよいよ、続きが始まりましたね!
それにしても、よく調べましたねぇ@@
まるで、旅行ガイドを思わせるような詳細さ、凄いです!
自分は、「足立区の事だったら任せろ!」なのですが・・・
他の地域の事については、全く解らないです^^;
なので、こうして自分の住む地域以外の事も詳細に描ける、ガオさんは凄いと思います@@

それにしても、前回の事がありますからねぇ・・・
こうしてる間にも、虎視眈々と服部が隙を伺っているのかと思うと、油断が出来ないですね><

ガオ
(2020/10/29)


張角様ー、また続きを始めましたー。〈(_ _)〉
いやぁ、「興味だけ」で此処迄来てしまいましたよ、ネットだから調べが付いて書けましたよ。一昔前だったら絶対無理。「ネットが」凄いのです。
正就は…どうなったのかも未定の状態なのです。
自分の弱さへの本格的な挑戦の勇気が無いといよいよやり抜いて終了と行かなく成りました。教えてくれた張角様がご覧に成って居る、投げ出さない様に最後迄書きます。為し遂げます。
今回もご覧下さり誠に有難う御座いました。

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ガオ

Author:ガオ
 宮崎の者で御座います。
 個人的に調査をした事を発表して居りますブログです。
 令和3年7月です。22日は海の日、23日スポーツの日から東京オリンピックが始まる予定です。
 引き続き健康第一!マスクにうがい、手洗いをどうか、宜しくお願い申し上げます。<(_ _)>

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